2016-11-17

ジル・ボルト・テイラー「奇跡の脳」


ヨガやってる方にとても読んでほしい本でした。
ジル・ボルト・テイラー博士著、「奇跡の脳」。

先日、以前の職場の先輩とランチした際に、
「大いなる存在・大宇宙があって、私たち人間が小宇宙で、それが同じもので…」
などとしどろもどろでヨガの説明をしていたら、この本の原書「My Stroke of Insight」と近いかも、と勧めてくださいました。
日本語版の存在を知っていたので読んでみました。
脳科学者が脳卒中になり、脳の損傷により左脳の機能を失って右脳だけで世界をみていた時のことが、回復した彼女自身によって克明に記されています。

彼女が左脳の機能を失っていたときの感覚の記述を、一部、引用します。

 『左脳は自分自身を、他から分離された固体として認知するように訓練されています。今ではその堅苦しい回路から解放され、わたしの右脳は永遠の流れへの結びつきを楽しんでいました。もう孤独ではなく、淋しくもない。魂は宇宙と同じように大きく、そして無限の海の中で歓喜に心を躍らせていました。

 自分を流れとして、あるいは、そこにある全てのエネルギーの流れに結ばれた、宇宙と同じ大きさの魂を持つものとして考えることは、わたしたちを不安にします。

 しかし私の場合、自分はかたまりだという左脳の判断力がないため、自分についての認知は、本来の姿である「流れ」に戻ったのです。わたしたちは静かに、静かに振動する何十兆個という粒子なのです。わたしたちは、全てのものが動き続けて存在する、流れの世界の中の、流体でいっぱいになった嚢(ふくろ)として存在しています。異なる存在は、異なる密度の分子で構成されている。しかし結局のところ、すべての粒は、優雅なダンスを踊る電子や陽子や中性子といったものからつくられている。あなたとわたしの全ての微塵(イオタ)を含み、そして、間の空間にあるように見える粒は、原始的な物体とエネルギーでできている。』

(「奇跡の脳」、新潮社、p73より引用)

tantraの教えでいっていることとよく似ています。
ヨガで目指しているところは、科学的には左脳の判断がなくなったところにある、と言えるのかもしれません。

彼女は、左脳の機能を訓練によって見事に回復されこの本を書かれましたが、回復に際し、この全体との調和、至福のなかにたゆたっていたいと感じ、嫉妬や怒りの感情を取り戻してまで回復する必要があるのだろうか?と感じてしまったそうです。

そのあたりのお話もとても面白いので、ぜひぜひ。